[ネタバレあり] 劇場版ONEPIECE「FILM RED」感想 “なぜ評価が二分されているのか”

※原作ネタバレを含むため、原作未読の方は

見ないようにお願いします。

 

すでに歴代最高興収を更新済みの本作ですが、少し遅れて観てきました。

遅れた理由はひとつ。

 

評判があまりよくない

 

レビューやらいろんな場所に載るコメントを見ると散々なもので、

やたらファンらしき人たちからボロクソに叩かれているのを目にして、

躊躇してしまったのが理由です。

ですが、実際に観てみると

 

いや、おもろいやん

 

1つの物語として上映時間にしっかりハマっているし、

 

個人的には映画の歴代トップクラスに面白かったのですが、

何故こんなにも人によって評価が分かれるのか、自分なりに考えてみました。

 

 

良かった点

まず、何故私がこの作品を面白いと感じたのか、賛否の賛側として

良かった点をあげていこうと思います。

 

①1つの物語として綺麗にまとまっている

私の解釈ではこの作品の主人公はウタです。麦わら海賊団でも

シャンクスでもありません。そう考えると彼女が赤髪海賊団に拾われてから

成長し、信じていたシャンクスに裏切られ絶望し、ネガティブな野望を抱き

最終的にルフィとシャンクスに救われ、最期は父であるシャンクスの中で眠る

という、彼女の一生が無駄なく描かれました。

ウタウタの実の能力者で、歌を愛する彼女の物語なので、喜びや怒り、焦りを

表現する歌は必須だったと思います。

 

②登場人物が必要以上に出すぎていない

ワンピースに限らず、個人的にはTVアニオリにもありがちな、

人気者を取り敢えず全部たくさん出すお祭り作品は

あまり好きではありません。

もちろん例外はありますが、基本的に物語を観たいためです。

成立していればいいですが、お祭り作品は得てして内容が希薄になる傾向に

あるように思います。

 

その点、今作はロー以外の最悪の世代はもちろん、サボやエースは

本編には一切登場しませんでした。最悪世代はエンドロールには結構いましたが。

無理やり入れようと思えば、ウタとの幼少時代の後の辺りに三人のシーンは

入れられたと思いますが、それがありませんでした。そのおかげもあって物語は

あまりいろんな方面にブレずにスッキリしたストーリーと展開になっていました。

 

③まさかのシャーロット家の兄弟の絆

サボとエースとの兄弟の絆は出ませんでしたが、まさかの

ビッグマムブラザーズの絆推しがありました。これは予想外。

原作ではここまで直接的に双方向の兄弟愛が描かれなかったので、

特にカタクリの好感度はバク上がりしたのは想像に難くありません。

最初は何でわざわざこいつらを絡ませるんだ?と懐疑的でしたが、

ある意味1番の嬉しい裏切りでした。

 

④ウソップヤソップの親子の絆

ここはもう原作ファンなら挙げない人はいないでしょう。

まだ絡ませないでって意見ならあるかもしれませんが。

成長して見聞色の覇気を得たウソップだからこそという面もあるし

繋がると信じてたヤソップのウソップへの信頼感とか、正直この

シーンで1番涙腺が危なかったです。

 

⑤喜怒哀楽のウタ

とにかく何度も出てきたウタの歌唱シーンですが、そのほぼ全てが

その瞬間の彼女の感情を表現していました。

ウタウタの実の力で聴いたものを別世界に連れていけるウタですが、

その世界では彼女の感情に連動してその場の雰囲気や出てくるものが

変わっていました。そして歌唱声を担当されているAdoさんも曲調も、

目まぐるしく変わっていたのですが、その曲ごとのギャップが

凄まじかったです。ポップ調からハードロック、バラードまで

なかなかこれだけ幅のある曲調をそれぞれ別の歌い方でこなせる人は

多くないでしょう。

 

⑤ラストバトル

ウソップ親子も含まれますが、最後のバトルシーンは、作画も

音楽もアングルも物凄いエネルギーが注がれてましたね。

ウソヤソの指示の元、夢の中メンバーと赤髪海賊団メンバーの

怒涛のラッシュは1回見ただけでは確認し切れないほどの

迫力と勢いです。麦わら海賊団だけじゃないのも良いです。

そしてやはり最後のシャンクスとニカモードのルフィの共闘

ギア5に関して私は生粋の単行本派なのでギリッギリでしたが、

最新巻読んでて良かったです。まぁたとえ読んでなかったとしても

あの流れだとちょっと頭にハテナが出るだけで、そこまで大きな疑問や、

ネタバレ食らった!感は無かったと思います。

 

⑥一般市民目線

具体的にその場に居合わせたり、具体的に誰にやられた等の

描写はあったものの、漠然とした海賊の被害に遭った人達目線と

いうものが珍しく描かれたように思います。

ワンピースは諸悪の根源をぶっ飛ばせば全てハッピーな雰囲気に

なりがちだったり、コブラ王みたいに一気に鼓舞して前向きに

してくれる展開が多いですが、実際は復興だったり家族の命を

奪われた人達の気持ちもあるはずなので、そういう部分が出て

いたのは良かったと思います。

 

⑥エンドロール

色んなシチュエーションでウタの歌を聴いている人達をひたすら

流していくエンドロールでしたが、ほぼ原作の扉絵シリーズ

原作愛の感じられる演出だったと思いますし、ガイモンやリカちゃん

扉絵シリーズも読んでないと何でこんな構図になってんだ?っていう

描写もあって最後まで楽しめたと思います。

あの流れで普通は必ずいるサボとかビビいなかったのだけ気になったの

ですが、なにかの伏線なのでしょうか。

 

 

不評の理由とは

以上が私がこの作品を面白いと思った理由ですが、

同じくらいかそれ以上に不評な理由を分析してみたいと

思います。

 

まず、圧倒的に多いのは

ウタの歌が原因のようです。

物語が進んでいく中で、何度も何度も彼女の歌唱シーンが流れます。

それは終盤の重要局面においてもです。

そこがワンピースの王道バトル展開が好きな人にはノイズになっているのでしょう。

ただ良いところで書いたように、私にとってはメインである彼女の歌は

外せないように思います。

何故こうしたギャップが生まれるのか、この作品が嫌いな人は

1つは単純に、ミュージカル作品、歌がある作品が好きではないというのが

あるかもしれません。有名どころではディズニーのプリンセスものは

ミュージカルパートが多いですが、好き嫌いは結構分かれるでしょう。

同じように、ワンピースにそれを求めていないという意見も多そうです。

ワンピースはとにかくバトルメイン、あるいは熱い友情ドン!だけでないと

見られない人にも苦痛かもしれません。

 

もう1つは、誰を主人公として捉えるかという見方があるかなと

思いました。

ほとんどの人はルフィが主人公だよ何言ってんの?

と思うでしょうが、私はONEPIECEという作品自体、

章によって主人公が入れ替わっていく作品だと思っています。

 

麦わら海賊団はそこに介入して助けたり背中を押したりする存在。

だから、アラバスタ編はビビのお話だと思うし、空島編は

ノーランドとシャンドラの戦士たちの話、ワノ国編は赤鞘九人男の話

だと思っています。映画版でもフィルムZはゼファー先生のお話って

調子ですね。

もちろん全部がそうではなく、頂上戦争編は明確にルフィのお話だと

思いますし、どこにも介入してない時は常に麦わら海賊団メインです。

そういう見方をしているから、ウタが主人公の作品は彼女の歌が

メインで、その喜怒哀楽は歌で表現されるべきだから違和感を覚え

ないのかもしれません。

些細な見方の違いですが、これが結構作品の評価に出る気がします。

「空島編で挫折した」て人が異常に多いのも少しは関係してると

思うようになりました。

 

 

まとめ

以上のように私自身が面白いと思った点と、不評な意見の原因に

ついて分析してみました。

こんな分析いちいちしなくても、単純にバトルの迫力や歌の上手さで

面白いと感じた人も沢山いると思いますし、単純にストーリーが

イマイチだったという人も多いと思います。

 

ただ自分が面白かった点を挙げていった時に、それと反する感想が色んな

ところで多く見られたため、興味が湧いて考えてみた次第です。

 

今作はワンピースシリーズとしては賛否が出たように結構チャレンジ要素が

強かったと思う反面、各シーン、描写への熱の入れようは凄まじい作品でした。

最後のバトルシーンを取り上げましたが、実際は歌唱シーン中の描写や、

中間のバトルシーンもかなり力の入った描かれ方をしていたので、退屈

することなく見ることが出来ました。

 

原作が完結するまでに今後、何作映画が作られるかは分かりませんが、

ストロングワールド以降の劇場版は配信を待たずに映画館へ行って見る価値の

あるものが多くなったので、次回作も楽しみに待ちたいです。

完結後でも、原作だけで拾いきれないであろうエピソードを映像化するという

方向でも期待したいです。

コメント

ブログ主
りかるど

ブラジルのサンパウロ生まれ。5歳で日本へ。
小中高大卒業後、書籍業界へ就職。現在はフリーでブログ運営などネット中心に活動中。趣味は漫画、スポーツ観戦、音楽ライブ、お笑い等。

りかるどをフォローする