最近悪役令嬢もの及び乙女ゲー転生ものをよく読んでいます。
中でもお気に入りなのが
「歴史に残る悪女になるぞ!」
という作品で、タイトルを見てもぶっ飛んでる設定ですが、
普通の悪役令嬢転生ものって、悪役令嬢なるのが嫌だったのに
なってしまってそこから打開していくのですが、
この主人公は現世時代から「乙女ゲーは悪女こそ華!」と
本気で思って悪役令嬢に転生したのを喜びます。
で、世界一の悪女を目指していくのですが、私がこの作品で
特筆すべきだと思った点は、
本来の主人公の存在です。
ゲーム上の主人公だったリズは、心優しく皆から好かれ
誰も差別しない一見パーフェクトガールなのですが、
この作品での描かれ方はもう1歩先をいきます。
この漫画の主人公の悪役令嬢アリシアは、悪役を
目指すと言いながら、人に嫌がらせばかりするというより
打算でいろんな成功を収めていく、むしろ有能な面が
大きくなって国で重要な存在になっていきます。
その中でリズと出会うのですが、彼女はとにかく理想主義者。
国家間で起きてる戦争は、「話し合えば分かるので戦争反対」
みたいなことを周囲の貴族の学生たちに言い回して国の方針に
影響を与えてみたり、言われた人が望んでいない理想論を語って
反論しづらくしてみたり、最も驚きのポイントでは
アリシアが誘拐され、殺されかけている中で
なんとか相手を倒そうとしたら現れて
「暴力はだめです」と止めに入り、
つらつらといかに暴力の無い世界が
素晴らしいかを語り始めます。
目の前に殺されかけた友人がいるのに。
そう、彼女はお花畑なのです。
多分前述のシーンを読んだ人は全員少なくとも
イラッとくるでしょう。
でも、これがこの作品のすごいところで
他の乙女ゲー作品と違う部分です。
他の悪役令嬢作品って、大体2パターンあって
①ゲーム主人公がちゃんといい子で仲良くなるパターン
②ゲーム主人公が逆に悪になる
なのですが、この作品はどちらとも違います。
結果的にアリシアと対立するのですが、彼女は②のような
純粋悪ではなく、お花畑故に人に迷惑をかけるのです。
全て善意からの行動です。先程あげたシーンも、自分の
行動は100%正しいと思いこんでいるし、心から相手の
ことを思ってしています。
だから余計たちが悪い。
しかしよくよく考えると、実際のところ乙女ゲーって
主人公限りなくこれに近いお花畑なことって結構多いです。
アリシアがリアリストだから彼女のお花畑が浮くのですが、
それでもこの作品みたいに違和感が無いのは、
周りの王子とか従者、友達がまともだからおかしな方向に
進まずバランスが取れたり、そのゲームが主人公のお花畑が
通用する世界だから成り立ってたりします。
盗賊を罰しない→その盗賊が家族を養っていくために
やってたことと分かって改心したりする
そういう世界だから成立してきた。
でも、この漫画はそういう世界じゃないからリズが浮いてしまう
という、ある意味「王道乙女ゲーへのアンチテーゼ」
みたいなキャラクターであり、作品なのです。
考え方を変えたら、リズは
「お花畑世界から異世界転生」
してきたのかもしれません。
まともな感覚を持った人間がいる世界ではお花畑主人公がいかに
厄介な存在かという・・。
そういう意味で、1番客観的に乙女ゲーを見る機会をくれたこの
作品は秀逸だと思いました。
最近は異世界帰りの日常を描くものが増えたり、どんどんニッチな
職業やスキルに進んでいっていますが、主人公の人間性をそのままフリに
した今回のような作品は、また見つけられたら読んでいきたいと思います。
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