「ヴラド・ドラクラ」は、実在のワラキア国君主である「ブラド三世」の物語です。
ヴラド三世といえば、串刺し公として有名ですが、何をして有名だったかといえば、どこかの
盗賊将軍がやったこういう事です。
こういったエピソードから、悪名高いヴラド三世ですが、近年は国を守ることに
力を注ぎ続けた、名君としての評価が高いようで、この作品も、
あらすじ
残虐の暴君か、国を護りし英雄か――。
15世紀中期。南にヨーロッパを席巻するオスマン帝国、西に大国ハンガリー。
ふたつの強国に挟まれた小国・ワラキア(現・南ルーマニア)にひとりの若き公が戴冠する。
その名は、ヴラド三世。
国内政治は貴族に支配され、外交は大国の情勢に左右される中、
ヴラドは故国・ワラキアを護るため、その才を発揮していく――。“串刺し公”の異名を取り、ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』のモデルとなったヴラド三世。
その実の姿に迫る、歴史ロマン。
登場人物
ヴラド・ドラクラ・・・ワラキアの若き王。寡黙で何を考えてるか分からない。
冗談が全く通じない。若干天然も入ってるという厄介な王。ドラキュラの元ネタになった人。
あと一応シャーマンキングのこの人の祖先。
シュテファン・・・ヴラドのいとこ。ヴラドが主人公らしい立ち回りを一切しないので、
変わりにボケたり、突っ込んだり怒ったりしてくれる、ワラキアの良心。
憂国のモリアーティのワトソン君によく似た立ち位置。
ヴラドに、国の一大事でも娼館に行ってると思われる程度には、遊び好きの様子。
アルブ・・・ワラキアの大貴族。国土の3分の1を所有している。初登場コマから全裸
で入浴中という、サービスシーンを出してくる辺り、さすが大物。
議会も牛耳っているので、実質ブラドより権力者。
1巻では、「内側との戦い」がメインです。
君主なのに、国政に関しては蚊帳の外という、圧倒的弱い立場から、徐々に
地位を上げていくところから始まります。
戦闘などはほぼないので、画的には地味かもしれませんが、
敵も味方も癖のある男達が多数登場するので、なかなかに見応えがあります。
そして何と言っても、どこがどうなって、ヴラドは串刺し公になっていくのかという
過程も、一巻にして早くも兆候が出てきます。
何を考えてるか分からない、ヴラドの不気味さが、この序章を上手くスタートさせている
と思います。底抜けに明るいキャラだったら逆に嘘っぽく感じますし、本人の思考の吹き出し
が多くなりすぎたら、謎さも薄れます。
他の登場人物たちも、汚い奴は汚く、純粋なキャラは純粋に、とわかりやすくなっているの
で、序盤の政争もさほど難しくなく、理解できるようになってます。
なので、特に世界史やヴラド三世に関しての知識など、無くても十分楽しめる内容です。
掴みどころのない、ヴラドのキャラクターも魅力的です。