妻は強し、失意の帰陣
某も、信親も死なせてしまい、
薩摩の特質系能力者に大敗を
喫した権兵衛。失意の底で
逃げ帰ってきます。
絶望感が凄い
ここでの藤が立派でしたね。
帰陣を待つ準備の段階から、権兵衛が
到着したあとも、妻として寄り添い、
途中で権兵衛にイラッときて昔の藤が
出て、食膳ひっくり返しますが(笑)
蔑まれても、
仙石の名は捨てません
と、凛として権兵衛に宣言し、これに
黙って権兵衛が深々と頭を下げるシーンは、
間違いなくこの巻いちばんの名シーンです。
結局、切腹となってもおかしくない
大失態でしたが、秀吉の処分は、改易。
これによって、仙石家の何かと濃かった
一同は解散、それぞれ新しい場所へ
淡々として去っていきました。
ここの場面、こんなにあっさりしてた
のが意外でした。この人達は今後
どうなるのでしょうか。何人か利家の
ところに行ったり書いてありましたね。
戸次川の戦いで影響を受けたのは
もちろん仙石だけではなく、
長宗我部家もで、大事な大事な世継ぎを
失った元親が、信親の妻に謝るシーンは、
この巻で一番辛いシーンでした。
生ぬるい生活
故郷へと戻った仙石達、出身者が大失態を
犯したとあって、村の人達からの
非難中傷は覚悟で戻ったら
まさかの大歓迎。
優しく迎えられた仙石一家は、のんびりと
過ごしますが、やっぱり川でトラウマに
あったり、もやもや感に悩んだりしています。
もっと厳しい未来が待っていると思っての
肩透かしですからね。かといって、自分から
「武功立てるんじゃあ」って勝手に戦に参加
出来る立場でないのは、人の上に立って
少し成長した権兵衛でも分かります。
しかし、ここで中央から、さらに
まさかの出来事。
堪忍料ってなんやねん。
秀吉が謎の1万石プッシュ。
豊臣家一の良心、小一郎っちゃんの
尽力もあってのことでは、ありますが、
あまりにも甘い処遇。
さすがの権兵衛も、これには逆に参って
しまって、このままでは駄目だと、
1人で高野山行きを決意して
この巻は終わります。
まとめ
どっちかといえば、悪い意味で意外な
展開でした。前巻のラストでは、
しばらく権兵衛の地獄は続くのかと
思っていましたが、形だけは処分しても、
気持ち的にはあっさり許された感じ。
それだけ秀吉と長くやってきた絆
みたいなものは、あるのかもしれませんが、
もっともっと苦しみ悩んでほしかった
気がします。
長宗我部家があんなことになって
たんですから。
このままでは、
「最も失敗し最も挽回した男」じゃなくて、
最も失敗し、最も甘やかされた男
になりかねません。そうならないためにも、
次の高野山編は凄く大事になってくると
思います。元々、高野山へは追放という形で
行っていると思われていたはずなので、
新しい解釈では、どう動いていくか、
どういう形で、史実に繋げていくか、
その辺りが楽しみに待ちたいです。
オマケ
戸次川後、猪武者ハンターの家久は、
しばらく空っぽになっていたそうです。
やっぱりあれだけ大規模な念能力を
発動させたら、反動は凄いようですね。
念の誓約と制約は、戦国時代にも
生きていました。
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