[ネタバレあり] 大きく変わった現代と謎の新キャラで更に深まる謎「 テセウスの船 5巻」あらすじと感想

前の巻では、佐野と共に真犯人を見つけていく流れで、

金丸によって逮捕されてしまい、なんとかすぐ

釈放されますが、佐野に自分のことと、未来では

佐野が犯人として存在していたことを

明かしたことで、決別し、村を出たところで現代へ。

ところが、飛んだ現代は、心が暮らしてきた

現代ではなく、大きく改変された

未来だったというところまででした。

 

 岸田由紀

由紀と結婚していない現代で、心は由紀と

再会しますが、彼女からすれば初対面。

完全に怪しい人です。

 

 

しかし由紀も由紀で、何故か心に興味を

持っている様子。

由紀の父が警察に通報するという

懸命な判断もあり、心は撤退。

 

心が昔の思い出にふけっていると、

翌日まさかの由紀の訪問。

何かを期待して、心がドアを開けると

 

雑誌記者でした。しかも雑誌の名前からして、

ろくでも無さそうなところ。

彼女が興味を持っていたのは、自身が佐野の

取材をしていて、その息子のインタビュー

を取りたかっただけ。

怒った心は彼女を追い返します。

再びこの世界線での自分の生い立ちなどを

整理していると、箱に入った大量の封筒が。

 

 

これはひどい

 

確実に当時の犯人が送りつけてきています。

しかし、さほど動じず、床に全部並べてみる

心もかなりのメンタル。

一つ一つ見ていると、再び由紀が現れます。

なんと彼女は取材の過程で、佐野と接触した事があり、

彼が札幌拘置所にいることが判明。

心は彼に会うため、拘置所へと向かいます。

 

 

 佐野との再会

拘置所に付くと、いつの間にか手続を済ませていた

ため、意外とあっさり会えることに。

 

 

佐野の第一声は「心さん・・いや正義か?」

これに対し、心は「はい」と返事。

これで、一度飛んだ過去から地続きの現代に

来ている事が確定しましたね。

それにしても、事件があったことで封印した

正義の名で問われて、返事をする心も、

「出て行け」と冷たく突き放したものの、

自分の息子・正義だと認めて話し掛ける佐野も、

この再会の瞬間に、お互いのわだかまりが溶けたという、

この作品の現時点での1番の名シーンだったん

じゃないかと思います。ずっと佐野、佐野と呼んでいた心が、

ここから父さんと呼ぶようになります。

ようやく打ち解けた佐野は、これまでの出来事を話します。

 

心が消えた直後、前の巻で心を逮捕した

金丸が死んだこと、悲劇の舞台であったお泊まり会の

開催自体を阻止しようとしたが予定通り開催されたこと。

そして1日ずれて事件は起こり、自宅にいつの間にか

入れられていた青酸カリが証拠となり、逮捕され

現代に至ることが語られました。そして最後に、

姉の鈴に子供が生まれることを伝えられます。

 

このシーンの最後、また犯人の録音視点が入り、

お泊まり会の様子を影で

見つめる佐々木紀子の姿が・・・。

 

 

 

 佐野鈴

 

滞在中のネカフェに戻り、毒混入事件を調べる心。

そこで、事件の被害者が変わっていることに

気づきます。前回死んでいた人物が助かり、

逆にその代わりに死ぬ人もおり、それでも

人数は21人のまま。

変わらない人数には何か意味があるのでしょうか。

 

 

父に教えてもらった住所を頼りに、鈴を探す心。

家にはいなかったものの、道で再会を

果たします。しかしその姿は、成長とか

そういう次元ではなく別人に。

姉は、犯人の娘、真犯人疑惑から

逃れるためか、整形をしていました。

 

ぎこちない2人は会話もあまり続かず、

連絡先を交換して帰宅。鈴の方は、

謎の車椅子の男と暮らしているようです。

 

 

というかヒゲは生えてるし口調も男なのですが、

なんか顔立ちが女性的すぎて

違和感。特に意味はないのか、何かの伏線なのか。

どうやら2人は内縁状態のようですが、

節々に男の束縛からなのか、DV気味

な雰囲気。ここはまた一荒れありそうです。

 

もう一度鈴と会った心は、心中に至る母の事の

顛末を聞かされます。

最初は懸命に夫を信じ耐えていた母も、

度重なる迫害と、娘への悪質すぎる

イジメなどで精神を病み、最終的には

変わり果ててしまっていたのでした。

 

 

 

 まとめ

 

今回は謎解きや、解明よりも、佐野家に

何が起きていたかのドラマ要素の

強い巻でした。見落としていなければ。

犯人に近づく大きな手がかりなどは

なかったかなと思います。

一つ進展があったといえば、

 

○過去・現在にわたっての佐々木の行動

は謎が残り、最後に佐野の無実を

証明したいと申し出て来ているようで、

ますます立場のわからない人物です。

 

大きなポイントの一つは、

心が戻った未来は、一度行った過去の

延長線上の未来だったということ。

まだこの現代パートは続きそうですが、

仮にまた過去に飛ぶことが

あったら、そこから未来に行くとまた別の

世界線へと変わっていくのでしょうか。

 

あと5巻まで来て感じたのは、前回まで私は

心の空回りっぷりを嘆いてましたが、

そもそもこの作品って推理ヲタクも、

(制御可能な)特殊能力者もいない、

言うなれば凡人がイカれた犯人に挑む感じに

なってるんですよね。佐野も、拘置所から犯人に

つながる的確なアドバイスをくれるわけでもない。

そういう目線で見ると、いかに困難な事に

挑んでるのかが感じられて、また違った印象を

受けるようにもなりました。

 

最後に、今回も禍々しい感じの次巻予告

だったんですが、その中で

「奴らは死んだ21人の目玉だ」

「(先に死んだ3人足して)毒で死んで

いった24人の目玉だ」

って言葉がありますが、これって二十四の瞳に

なぞらえてるんですかね?

今回は発見できた謎や伏線があまりにも

少なかったので、今後見つけたら

載せていきます。何か発見あった方が

いたら是非教えてください。

 

1989年6月24日、北海道・音臼村の小学校で、児童16人を含む21人が青酸カリで毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。28年後、佐野の息子・田村心は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと1989年にタイムスリップしていた。時空を超えて「真実」と対峙する、本格クライムサスペンス、開幕。

 

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ブログ主
りかるど

ブラジルのサンパウロ生まれ。5歳で日本へ。
小中高大卒業後、書籍業界へ就職。現在はフリーでブログ運営などネット中心に活動中。趣味は漫画、スポーツ観戦、音楽ライブ、お笑い等。

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