あらすじ
19巻で完結したべしゃり暮らしの
その後を描いた20巻は、NMC決勝前の
楽屋からスタートしました。
ファイナリストの面々には、これまでも
活躍していた、ぷりんすやげんこつロデオ、
の姿も。
今回はべしゃりと合わせて、主にこの3組に
焦点を当てて、彼らが1年間どういう道を
通ってきたかた構成になりました。
まずぷりんすは、やはり有名芸人である
父親の威光は大きく、登場前の紹介VTRも
父親中心。トップバッターの重圧と客席の
温まらなさで、リアルに空回りをして、
威光を嫌がっていた父親の持ちギャグを
かましてしまうもそれがウケて終了。
点数は伸びなかったものの、父のギャグを
やったこと自体を咎められることもなく、
息子である
自分たちにしか出来ないネタ
として褒められます。20巻はこれが
ポイントになっていきます。
続いてはげんこつロデオ。彼らは本連載
では、るのあーるの上原をぶっ飛ばして
YCAを退学して本編からフェードアウト
してしまっていたんですが、彼らは退学後
最初はツテを頼って色んな劇場を転々として
いましたが、ヨシムラの圧力で場所を次第に
失い、最終的には路上漫才へ。NMCでは圧力
なく実力あれば勝ち上がれることを信じ、
エントリーし、見事に決勝への切符を
掴んだのでした。
そして彼らはそのネタで、最終決勝を
掴んだだけでなく、ずっとフリーだった
ところから、金田しげおのまさかの公開
勧誘で事務所入りまで掴みました。
金田は取り巻きがめっちゃ多い、この世界
におけるお笑いビッグ3の人ですね。
そして最後はべしゃり暮らし。
べしゃり暮らしは、準決勝前の記憶喪失
したエピソードを、ドラマチックにしたい
番組制作側の都合で、紹介VTRで大きく
取り上げられてしまいます。
自分たちにしか出来ないネタ
ということを思い出し、
それを逆手に、ネタにしようとした2人に
大誤算が。
先にネタ見せをしたサボテンミサイルが、
ずっと温めていたネタが記憶喪失ネタ。
まさかのモロ被りです。
どうするべきか直前まで迷った2人は、
もう1つのネタの方からスタートし、
サボテンのネタをイジリつつ、記憶喪失
のネタにシフトするという大アドリブを
やってのけます。
結局ネタは大ウケするも、他の演者の
ネタをイジったことがマイナスになり
最下位で終わってしまいました。
7年後、べしゃり暮らしはコツコツと
順調に実力人気を伸ばしてゆき、
同様に力を付けた子安が、自身が作家に
ついた、初めてのラジオレギュラーが
決まったことを2人に伝えようとする
ところで終幕。
そして最後のコマの左下には
「第一部完」の文字が・・。
感想
見事なフィナーレでした。
個人的に何より良かったのは
げんこつロデオのその後を知る
ことが出来たことです。
最後に出ては来たけど、本編
ではあまりにあっさり消えて
しまったのが残念だったので、
ちゃんと描いてくれたのは感謝。
そして相変わらず、
現実にありそうなエピソードが
盛りだくさんでした。
辞めて干されるのは最近話題に
なりましたし、実際そういう目に
遭ったことを暴露してる芸人さん
もいました。
それから、賞レースでのネタ被り。
これも実際にあるやつで、その場
ではあまり言いませんが、後から
本人たちの口からそういうせめぎ合い
があるというのはよく聞く話です。
あと煽りVがやたら感動路線なのも
お笑い賞レースあるあるですね。
個人的には今回の芸人たちの言うように
ああいうのは要らないと思いますが、
興味ない人を惹き付けて視聴率取るには
必要なのかもしれないですね。
さすがNSCに実際に通い、さらに
M-1で準決勝まで行く人は、リアルさ
が段違いです。
そしてやっぱり触れておきたいのは
第一部完という言葉。
もちろんスラムダンクみたいに
第二部が始まる気配ゼロな作品も
ありますが、これだけ間が空いての
集中連載でこの言葉が入るのは、
期待せざるを得ません。いつになるか
分かりませんが、その時には今年
問題になった直営業なんかも
取り上げるでしょうし、オリラジ中田
やカジサックのように、べしゃり暮らし
連載終了後に、新しい頭角を現した芸人
も出てくるかもしれません。
芸人の世界を描ける漫画家は森田先生しか
いないと思っているので、第二部には
凄く期待したいです。
オマケ
さり気なく、どう見てもト○ブラウンな
芸人が出てきたのは笑いました。
まとめ
19巻と20巻の間が大きく
空きましたが、これでようやく
第一部が完結しました。
この作品は実際どういう世界なのかは
分かりませんが、本当に芸人側に立って
描かれている気がして、芸人愛を感じる
ものでした。例えば毒舌芸をしていた
花田にしても、その芸風には色々な思いや
過程があって、やっていることであり、
芸人たちって誰もかれも世間がイメージ
してるような軽薄で粗野なのばかりではないと
思っています。
そういう部分を汲んで作品に投影させつつ、
べしゃり暮らしの2人の物語を進めていく。
それまでの森田先生の連載作品って舞台も含めて
1つのフィクションの世界を描いているものが
多かったのですが、これはリアルな芸人の世界が
あって、そこに森田先生のシナリオ力がドンと
乗っかって出来たものだと思ってます。
リアルを描きつつ、先生の人間ドラマも描かれて
る点で、自分は森田作品で一番好きな作品です。
そしてここまでのものは、ちゃんとその世界を
自分の目で見た先生だからこそ出来たものだと
思うし、これからも体験者だからこそ面白くなる
作品は増え続けていくと思います。
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