作品・作者に関して
電人Nは、コミックDAYSで連載の作品です。
本作は田中空先生のサイトに書いてある中から
見ますと、田中先生が作品全体の構想案やネタを
出して、それを元に蔵石ユウ先生がネームを上げ、
イナベカズ先生が仕上げるという形を取っている
ようです。
田中先生は、この作品以外は基本的に自身で
作画含めて漫画の執筆をされていて、ジャンプ+
では「タテの国」という作品も連載中です。
電人Nは基本現実世界が舞台ですが、田中先生の
作品はSFものや近未来など、舞台設定自体が面白い
作品が多いので、そちらもオススメです。
人形の国やメイドインアビスのように世界観が抜群な
漫画が好きな人には特に。
そして原&作画のコンビは、
人が狩られる側漫画の代表作ともいえる
食糧人類でもタッグを組んでいます。
感情移入できない主人公
一応超能力ものに分類出来る作品
ですが、ストーリーとしては
クライム・サスペンスに分類されると
思います。
DEATH NOTEに近いかもしれません。
しかし、デスノとは真逆なところが
あります。
それは主人公です。
デスノの主人公・夜神月は恵まれた家庭に
恵まれた才能を持ち、それがノートという
超能力を得て、彼なりの「正義」を実行して
いく物語です。
しかし電人Nの主人公である那須忠太は逆。
父親が借金作って逃げたため高校中退して
コンビニでバイト。母親はアルコール中毒で
働きもせず、忠太に酒代をせびる毎日。
更にバイト先では、オーナーの息子店長が
やりたい放題。
人生Sハードモードです。
そしてそんな状況でも健気に頑張る
真面目な青年なのかと思えば、
現実は甘くない
彼自身もこの環境によって歪んでしまい、
学生時代に声をかけてくれた女の子、
神崎みさきという、現在アイドルを
している女の子に心酔しきっています。
そして彼が手に入れる能力を活用する
のは悪を滅ぼすためではありません。
弱い人を助けるためでもありません。
彼女をNo.1アイドルにする
ためです。
そしてそのためには彼はライバルグループの
子や厄介なファンを
平気で殺します。
このマンガ結構描写がエグいので、グロ耐性のない人は
読まないほうがいいかもしれません。
ほとんどが自分自身のためではないところに
余計恐怖を感じますね。
そんなドン引きするようなストーカー気質な
主人公と、彼を捕まえようとする警察と
その協力者たちによる戦いがこの作品の
構図です。
どんどん追い込まれていって、能力を得た
ことで、エスカレートしていく電人の様子と
彼によって不本意にアイドルの階段を急激に
上がらせられていく神崎みのりの恐怖が
臨場感ありありで描かれています。
想像つかない領域のバトル
タイトルでも分かるかもしれませんが、
主人公が手に入れる超能力は、電気に
なることです。
バトル漫画において電気・雷を操るキャラは
常に作中最強クラスの力を発揮します。
最終的には特殊な条件下で敗れはするものの、
この作品においては、天敵のスタンドも、
ゴム人間もいません。
そして現代社会において、電気は常に生活に
密着した存在のため、より最強最悪に近い
存在です。
この作品を通して、どれだけ日本人が電気に
電子機器に頼っているのか、そういった部分も
感じ、それ自体を怖く思うことも出来ます。
そんな絶望的な相手に、人類側は警察が依頼を
したスドーという完全に変わり者双子な
私立探偵を立て、どうやって電人を止めるのか、
1巻から早くも展開される両者の駆け引きと
読み合い。そこが1番の注目ポイントです。
感想・まとめ
電気人間、変人天才探偵、個々の
トピック自体は、目新しいものは
ありませんが、組み合わせ方が良い
ですね。
主人公はかなり可哀想な境遇では
ありますが、同時にちょっと何をする
のか分からない異様さも持っています。
人類側であるスドーも何を考えているのか
読みづらく、敵味方ともにどう動いていくか
予想がしづらいです。
珍しさのない材料なのに、組み合わせ
方によって先の展開が読めない物語に
なっているのが面白いですね。
あとはとにかく、作中で1番まともな人に
見える神崎みのりがある意味1番被害を
被っていて可哀想なので、最終的に彼女は
まともな未来が待っていてほしいです。
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