[ネタバレあり] 佐野家と音臼村の物語完結!この作品におけるテセウスの船は・・「テセウスの船 10巻」あらすじと感想

 あらすじ

 

前巻で事件の全容が見えて、みきおの

動き方も分かりました。

未来みきおの犯行は分かったものの、

今度は過去みきおの犯行を止めないと

いけないため、佐野と心が動きます。

 

全然見つからない状況が続くと、学校の

校舎のスピーカーからみきおの声。

かけつけると過去みきおがいましたが、

事件に関しては完全しらばっくれ体制。

 

心の時間軸では使われていた報知器が

壊れていたり、クラスメイトにこっそり

毒入りのジュース粉を渡したかと思われた

行動は、毒が入っておらず、

どうやら集団毒殺を狙うのは止めている模様。

 

すると佐々木が長男の慎吾をおぶって登場。

鈴と母は未だに行方不明のままですが、

例の小屋に狙いを定めて、佐野に学校は

まかせて、心が動きます。

 

小屋の中からいつもの日記風テープ音声が

流れてくるのを聞いた心は

何の警戒もせずに小屋に入り、後ろから

みきおに殴られ気絶。

物語の最初から最後まで

致命的ミスを欠かさない初志貫徹の人です。

 

気がつくと、小屋の中に拘束され、目の前

にはさつき先生の死体。

ここで現れたみきおが遂に犯行の理由を説明。

 

音臼に引っ越して最初に自分を受け入れ仲良く

なってくれたのが鈴でした。

もともと思考展開が狂っていたみきおは、

世界が自分と鈴だけになればいいと考え、

彼女が正義の味方として尊敬する父に罪を着せ

彼女をいじめた明音を殺害。

一連の事件以降鈴に接触を試みたものの、鈴は

辛い体験と、整形によって性格も見た目も変わって

しまっていたということ。それをもう一度変える

ために今回動いていることが分かりました。

 

そして過去みきおとの話し合いで、彼らが

決めた新しい方策は、

 

鈴ちゃんを監禁する

過去みきおが助ける

未来みきおが事情を知ってる心と佐野を殺す

未来みきおが死ぬ

鈴ちゃんを助けた正義のみきおは

鈴ちゃんと幸せなキスをして終了

 

という完全な自作自

 

心のいる小屋に火を付け、

鈴を助け出すところまでは良かった

のですが、心が死んだかを確認もせずに

飛び出したため、ギリギリで脱出した

心が佐野をかばい、みきおは佐野の銃弾を

浴びて死亡。心もそのまま息を引き取りました。

結局、時を超えた2人は元の時代に戻ることも

その時代を生き続けることもなく生涯を

終えました。

 

それから20年以上がたち、佐野家は幸せに

過ごしており、みきおも少年院を出て社会人に。

そして無事に誕生した次男は、正義ではなく

亡くなった心の名前をそのまま継承。

学校で教師をする心は、岸田由紀と再び

一緒になっており、最後に再び用語としての

「テセウスの船」が流れ、終了。

 

 

 感想

 

遂に完結です。

なんやかんやと読んできましたが

一応ちゃんと、物語は終了しました。

心が最後まで油断癖が治らないのは

残念でしたが、みきおも詰めが甘く

ダブルノックダウンという末路に。

みきおを出し抜いたのが、自分で

犯行予告をして警察を呼び寄せた

ところだけだったとは。

 

予想していた、みきおの過去編は

一切なかったのは驚きでした。

彼には何があったんでしょうね。

 

 

意外とか、びっくりするような

展開では全くないのにラストは

衝撃的でした。

 

また、みきおが鈴に執着していたところは

予想通りでしたが、

結局2回目の船は作ることもできなかったみきお

ではなく、心自身がテセウスの船

なってしまいましたね、

 

まったく同じ姿をしてておそらく

性格も似たようなものになってる

新しい心が、全く同じ人と結ばれる。

 

家族構成、結婚相手、容姿が全く同じなのに

中身は全く別の心。

過去を弄り回しても、別の道を通っても結局

同じような出口にたどりついてしまうところも

そこには主人公すらもういないというのが

おそろしいです。

時空を渡れた2人ともが死んだから、

心が父親を恨んでる"現代"も、

獄中の父親と再会する"2つ目の現代"も

なくなったしまったんですからね。

 

 

 シリーズ感想

 

ノートを落とした辺りは、やること

なすこと裏目に出てて心にイライラも

してきましたが、結局最後まで楽しんで

読み切れました。

獄中の父との再会シーンには思わず泣く

こともありましたし、みきおのテープは

毎回得体の知れない犯人おそろしさがあって

良かったですし、1回現代に飛んでまた別軸

から事件の真相を追って、また過去で決着

をつけるという流れも面白かったです。

 

過去と現代、2つの世界がありながらも、

そこまで登場人物を増やしたり北海道という

舞台から他に移すこともなく、あくまで音臼村

近辺で話を完結させたことも、広げすぎずで

分かりやすかったと思います。

 

 

読んでる途中でドラマ化発表があったのも

嬉しかったです。テセウスは評判などから

ではなく、1巻の表紙を見て表紙買いした

作品だったのでなおのこと。

ドラマではやはりテープの音声がインパクト

を与えると思いますが、どう描かれるのか

注目ですね。みきお役の安藤政信さんに期待

したいです。

3巻の感想でも軽く触れた田中役を

霜降りせいやさんが演じるのは笑いました。

 

テセウスの船を読み始めてから調べて

知ったのですが、東元先生の作品って

これまでアウトロー系が多かったのが

今作で一気に絵自体も変わっていて、

この作品のヒットで今後はサスペンス

路線でいくのか戻ったりするのかは

分かりませんが、注目していきたいです。

 

1989年6月24日、北海道・音臼村の小学校で、児童16人を含む21人が青酸カリで毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。28年後、佐野の息子・田村心は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと1989年にタイムスリップしていた。時空を超えて「真実」と対峙する、本格クライムサスペンス、開幕。

 

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ブログ主
りかるど

ブラジルのサンパウロ生まれ。5歳で日本へ。
小中高大卒業後、書籍業界へ就職。現在はフリーでブログ運営などネット中心に活動中。趣味は漫画、スポーツ観戦、音楽ライブ、お笑い等。

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