作品・作者に関して
タイトル：ユグドラシルバー (2019- )
掲載雑誌：別冊少年マガジン
作者：からあげたろう
代表作→わたしのカイロス (2015-2016)
→コーヒーカンタータ (2016-2017)
あらすじ
「麗しき永遠の花の都」。そう謳われたのも遥か昔の夢の跡。今では全てが凍てつく厳冬の国。そのゴミ溜め（レベルゼロ）で、かつて勇名を馳せた老騎士・ガル＝ガルゥは、栄華を極めた国の衰退と同様に落ちぶれ残飯を食らう日々。己の"出番"など、もう終わったと思っていた。天より落ちてきた少女と出会うまでは──。
からあげ先生は、もともと二次創作を中心に
活動されていた方で、
わたしのカイロスで本格的にデビューを
果たし、今作は３作目。
先生の作品は、キャラの可愛さがまず前に
出てくる来がちですが、舞台設定や知識面が
しっかりしているところが特徴です。
今作はファンタジー作品で、やはり世界観が
上手く成立していると思います。
おすすめポイント
主人公はおじいちゃん！
この作品、世界観は王道に近いファンタジー
ですが、主人公のガル＝ガルゥは、なんと
おじいちゃん！
私は常日頃信じている法則が１つありまして、
それは
お爺ちゃんがカッコいい漫画にハズレなし！
です。
この作品が出る前に作った紹介記事なので、
入ってませんが、過去にまとめてもあります。
そしてやはりユグドラシルバーも、
例にもれず
カッコいい！
ガルは過去に王国の騎士団にいた経歴を
持つため、騎士道精神が半端ないです。
そこに熟年の持つ説得力も相まって、
渋いです！
２人の関係性が良い！
この作品のメインは、王都から逃げてきた
不思議な力を持つ少女ナルを連れ、
囚われている母親を助けに行くという王道な
冒険ファンタジーです。
スタートは
氷に包まれた世界という舞台設定もハッキリ
しているし、ジブリのラピュタも脳裏をよぎる
ような良い作り方です。
ガルはおじカッコいいですが、他の作品の
おじ主人公と比べると無骨でクソ真面目です。
駆引きで先手を取るような不敵なキャラの場合が
多いですからね。
その分、ナルが動き回って話をかき回して、
それをガルがサポートするという構図が
バランスが取れていているのです。
この手の凸凹な男女バディ構成って、
犬夜叉とかごめみたいに、男が暴れん坊で
女の子がコントロールしようとするものも
ありますが、これは逆です。
それだけでなく、年齢の離れ方がエゲツないのに
ナルのキャラクター的に友達くらいの距離感
しか感じない２人の関係性が、今後どんどん
深まっていきそうなのが良いです。
王都とガルに何があったのか
まず持って、冒頭のシーンを見る限りガルは
かつては、王都の騎士団長をつとめていたのに、
何故最下層で暮らしていて、片腕を失っているか
まだその部分は詳しく語られていません。
そしてももちろん、国全体に何が起きて平和と
は程遠い世界になってしまったのか、この部分も
説明が入らないので、そこが少しずつ明らかに
なっていくストーリーも魅力的です。
１巻感想・まとめ
最近の冒険ものやファンタジーものは、
主人公や主要な仲間にクセがある作品が
多いですが、ユグドラシルバーはメインの
２人とも「真っ直ぐ」です。
舞台設定や戦い方、能力は特殊ですが、
性格が真っ直ぐな２人なので、総合的に見たら
王道モノのように読むことが出来ました。
それからこういう構成だと、１巻のうちは
保護者的ポジションの男だけが頑張るパターンが
多いですが、戦闘力のない女の子も一生懸命
頑張るのも好感が持てます。二人共に愛せる
ストーリーなんですよね。
あとはやっぱりキャラクターのデザインが、それぞれ
ちゃんと個性があって、特にナルは可愛いです。
ひねりのないストレートな冒険ものが好きな人は
素直に楽しめる作品だと思います。
もちろん徐々に明らかになっていく謎もあるので
そこを予想しながら見ていくのも面白いです。
今後の広げ方次第ではかなり大きな作品に化ける
可能性もある作品です。
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