[おすすめ漫画] “無敵の人”を処分する組織があった!?無敵の人のおすすめポイント「きづきあきら+サトウナンキ/無敵の人 1巻」作品紹介と感想

作品・作者に関して

タイトル:無敵の人

掲載雑誌:月刊アクション (2019- )

作者:きづきあきら+サトウナンキ

代表作→うそつきパラドクス (2009-2012)

うそつきパラドクス〜社内風紀のみだしかた (2019- )

         →秋の鹿は笛に寄る (2019- )

あらすじ

女子高生の高瀬いのりは、引きこもりの兄から性的暴行を受けていた。ある日、謎の男・ニルが現れ、無差別殺人を企てていたいのりの兄を殺害する。絶望から解放されたいのりは、対価として彼女の兄のような危険水域の【無敵の人】を見つけ出し、犯罪に走る前に殺害するという「治安維持活動」に手を貸すことになるが…!?

 

きづき先生とサトウ先生は、リアル夫婦で、

これまでの連載作品も夫婦で描いてきている

という割と珍しいコンビです。

過去の作品も非常に多く、現在でも本作を

含めて3作品が2020年1月現在連載中です。

恋愛や家族ドラマなど様々なジャンルで

描かれていますが、どれもダークな要素が

含まれており、本作も同様です。

 

おすすめポイント

・"無敵の人"とは
・舞台は近未来
・社会の闇をリアルに描く

 

"無敵の人"とは

 

本作のタイトルにもなっている"無敵の人"は、

主にネットで使われていた用語で、近年増加

している、財産も社会的地位もなく、関係ない

人を巻き込んで事件を起こすことに躊躇のない

人間たちのことです。

この作品はそれをテーマに、無敵の人とそれを、

事件を起こす前に"処分"する組織との戦いと

その苦悩が描かれています。

 

 

 

舞台は近未来

 

無敵の人の舞台は、ちょっとだけ未来です。

ARとVRの技術が進んで、ローカと呼ばれる

ゴーグルを装着すると、

ARでは現実世界の視覚に情報が追加され、

VRではヴァーチャル世界で好きなアバターを

使って遊んだりコミュニケーションを取ったり

することができます。

というように、現在にはない技術も登場する

世界ですが、それ以外は基本的に現代と全く

変わりません。

技術が発展しても、良くも悪くも人は進歩

しないという皮肉でもあるかもしれませんが、

とにかくARとVRがあるという特徴は

この作品独自のポイントです。

 

社会の闇をリアルに描く

 

そうした発展した技術があるにも関わらず、

この世界で起きることは、現代の日本で

起きたとしても何ら不思議ではないこと

ばかりで、VRを使っての集団扇動や、いじめは

現実にこの技術が導入されたら間違いなく

起こることに思えます。

 

そうした世界で主人公である高瀬いのりもまた、

無敵の人になってしまった兄の犠牲者で、

 

 

目の前で兄が処分されたことがきっかけで

無敵の人を処分する組織に加わり、様々な

無敵の人に遭遇していきます。

 

 

そして出てくる彼らは実際にあった事件を

元にでもしているような生々しさで、

多くは家庭環境に問題がある人が描かれていますが、

それに当てはまらない

特殊なタイプの登場するのが面白い点です。

 

 

推理もの事件ものの作品って、ほとんどは、

明確な犯行の動機やそうなった理由が描かれ

がちですが、そうでない、家庭環境にも恵まれ

何もおかしな点がない人間も犯行に至るという

ことがこの作品では描かれています。

 

現実にもそういうのはあると思うし、そこを

包み隠さず書いているのは大きな特徴だと

思います。

 

 

1巻感想・まとめ

切り口が非常に面白い作品です。

PSYCHO-PASSのように、完全に未来の

話にするのではなく、少しの近未来設定を

使いながらも、登場する社会の構造は

現代そのものというバランス。

時代設定によって、外道の歌や怨み屋本舗

のような復讐代行ものとはまた違った世界が

展開されており、処分を実行する組織自体が

どういう組織なのかという謎要素もあり、

2つの要素が楽しめます。

 

そして社会の心理描写がとてもリアルで、

1巻に登場する殺人鬼に対しての人々の

ネット上での反応は生々しいです。

それから主人公の友人が少しずつ

無敵の人へと堕ちていく過程なども描かれ

かなり暗い話ですが、ストーリー展開には

惹きつけるものがあります。

この辺りは、ダークな心理描写に長けている

作者さんの力だと思います。

 

あと主人公いのりがとにかく悲惨なので、

ある程度の覚悟は持って読み始めないと、

結構嫌になるかもしれません。

そうでなくても先程あげたような復讐ものが

苦手な人には向かない作品でもあります。

 

人間のダークな部分と、それに立ち向かう

人達のストーリー、目がはなせません。

 

 

女子高生の高瀬いのりは、引きこもりの兄から性的暴行を受けていた。ある日、謎の男・ニルが現れ、無差別殺人を企てていたいのりの兄を殺害する。絶望から解放されたいのりは、対価として彼女の兄のような危険水域の【無敵の人】を見つけ出し、犯罪に走る前に殺害するという「治安維持活動」に手を貸すことになるが…!?

 

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りかるど

ブラジルのサンパウロ生まれ。5歳で日本へ。
小中高大卒業後、書籍業界へ就職。現在はフリーでブログ運営などネット中心に活動中。趣味は漫画、スポーツ観戦、音楽ライブ、お笑い等。

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