[ネタバレあり] 排球少年たちの物語完結!作品が最後までブレなかった部分は・・「ハイキュー!! 45巻(完)」感想

 

試合決着!

3巻目に突入したVリーグ、日向の

デビュー戦、前巻最後に星海が強烈な

一撃をお見舞いしましたが、今回の

スタートも、日向と影山のチームメイト

達の活躍と回想から始まります。

 

5本指であることや、とにかく有望で

あること、変な奴であること以外は

あまり言及されていなかった佐久早

 

当たったのが県予選だったため、気づけば

かなり前に戦った人だった牛島

 

この2人について、佐久早は幼少期から

井闥山のチームの雰囲気も含めた生い立ち

から。彼は元々が、完璧主義な性格だった

ために、苦手や不安要素をつぶしていくタイプ

です。ハンディを跳ね除けるための方法として、

苦手をつぶしていった星海とは全く違って

本能的にそれをやってるという意味では、

かなりのバケモノです。

高校時代の登場シーンから変わらず、感情的な

部分ではかなり乏しいですけど、井闥山の

メンバーはそれを理解して接してるのが良い

ですね。牛島との関係性も今回で分かり、

ユース合宿で烏野の一員である影山に突っか

かったのもうなずけます。本人はそういう

つもりでは無かったのでしょうけど。

 

その中で負けて高校バレー生活を終わった飯綱の

言葉は印象に残るものでした。

 

いつか来る本当の最後の試合は

絶対笑って終わってやる

 

これは本当深い言葉ですよね。バレーボールに

限らず、どう終わるかって凄く大事な気が

しますし、この回のメインの佐久早の言葉では

ないのに、なんかジンときました。

 

牛島も父親との意外な関係性と、現在の進化

した部分が飛び出し、これで全て出揃いました。

あとはチーム全員全力のぶつかり合い。

 

最後にはMSBYが決めて勝つのですが、

日向のスパイクで決まるのではなく、日向を

囮にした木兎の一撃で決まるのがたまらない。

 

最強の囮、炸裂

 

古舘先生は、東峰や田中の苦悩の時や、日向の

オープンの時も、決めたらドラマチックな

場面はことごとく裏切ってきていたので、

これも最後までブレませんでした。

 

 

そしてこの試合でハイキュー!!内での試合は

終わりですが、Vリーグにおいては日向の

まだデビュー戦。影山の「来たな」という

言葉が、これから続いていく2人の対戦の

継続を表現していてたまらないです。

 

そこからまた少し時間が経って、日本代表戦。

日向が初めて代表に選ばれ影山と再びチーム

メイトでオリンピック本戦。対戦相手は

まさかの帰化アルゼンチン人・及川

体格に恵まれない彼がアルゼンチン代表の

座を掴んだ過程も知りたいところですが、

試合では影山があげたトスを日向が決めて

本編終了。

 

本編終了後の最後の最後、

世界クラブ選手権決勝で再び

影山と日向の対戦になっていますが、

日向がブラジルのクラブの選手として

出場してるのが最高ですね。

 

 

作品を振り返って

まずこの作品は間違いなく

スポーツ漫画の歴史に残る傑作です。

主人公の○○の物語でもなく、○○高校の

物語でもなく、まさしく

高校バレーの物語でした。

もちろん日向と烏野高校を中心に描かれた

作品ではありましたが、とにかくどの高校

どの選手も、その他大勢ではなく1人の

人格として描かれ、全ての選手が生きて

いました。

 

普通のスポーツ漫画なら、予選1,2回戦の

相手は端折ったり、モブのような扱いを受け

ます。でもハイキューではそんな高校も、

ちゃんとドラマを描きます。なんならその中

から、最終巻に登場する日本代表すら出て

ます。

近年のスポーツ漫画は、選手個人の物語だった

時代から、スラダンのようにチームの時代を経て

より全体に目が向く時代になっていると思います。

より対戦相手に焦点が当たり、よりスタッフや

応援団への焦点が当たっています。

ジャイアントキリングなんかはその典型ですね。

 

その中でトップを走り続けたのは間違いなく

ハイキュー!!です。しかもその方向性は一度も

ブレることなく、高校バレー編が衝撃の幕切れを

し、日向のブラジル挑戦という、普通なら個人に

焦点を絞ると思う流れになっても、最終的には

また宮や佐久早などのキャラにもしっかり焦点を

当てながら走り抜けていきました。

 

スポーツ漫画としてはかなり長く、高校編だけで

40巻超えという超長期連載だった本作ですが、

その中でブレることはありませんでした。

 

キャラが魅力的過ぎたことがかえって裏目に出て

見てもいない人にキャラ人気なワーキャー作品

だと勘違いされることもありました。

それでも、人気キャラに極端に偏重してバランス

崩せることはありませんでした。

あれだけ熱い戦いをした予選から全国に行っても

熱量の高い試合は継続しました。

 

不満な点がほとんどない作品です。

西谷や田中のその後がどうとかなんて微々たる

問題です(笑)

それどころか、ほとんどのファンが、空白を

埋める作業を求めていると思います。

 

アルゼンチンリーグで戦っていた及川が

どうやって代表にまでのぼりつめたのか。

黒尾のバレー協会入りの経緯。

結局写真でしか登場しなかった旅人西谷の

ちゃんとした姿。

 

可能ならばいつか見てみたいです。

これほど色んなキャラの空白が気になる

作品はありません。

 

 

その他

登場してなかった夜久はロシアリーガーで

ガッツリ現役、それどころか日本代表でした!

先に言及してしまいましたが、しっかり期待

通り黒尾やリエーフ達のその後も知ることが

出来ました。

 

その中で、何気に修のおにぎり屋で

ニッコニコで仲間を誇るのシーン、

めちゃめちゃ刺さるのは自分だけ

でしょうか。

 

それ以外にも、Vリーグ編では

影山が金田一たちに声をかける

シーンや、清子さんの谷地さんとの

合宿での風呂のシーンを思い起こさ

せる言葉とか、試合以外でも

グッとくるシーンが沢山詰まって

いるので何度も読み返そうと思います。

 

古舘先生、お疲れさまでした。

 

 

それぞれに信念を背負い、培ってきた力全てを注ぎぶつかり合う選手達…! BJ対AD、決着!! 日向は牛島の猛打を止められるのか、そして影山との対決の結末は!? バレー漫画の金字塔、ここに完結──!!

 

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ブログ主
りかるど

ブラジルのサンパウロ生まれ。5歳で日本へ。
小中高大卒業後、書籍業界へ就職。現在はフリーでブログ運営などネット中心に活動中。趣味は漫画、スポーツ観戦、音楽ライブ、お笑い等。

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