新入門者
試合は最終盤、このまま終わると青森が優勝という土壇場です。
これまで何度も覚醒しかけてはこぼれ落ちていた青井ですけど
今度こそ本当の本当の覚醒が来ました。
これまでは確変止まりのごとく、その後の展開で大きなミスを
冒したり、直後に挫折をして全部パーになる厳しい連続でした。
覚醒したことで、彼のチームメイト含めて誰も立ち入れなかった
北野の世界への入門も果たしています。
ずっと無表情で目が死んでた北野が、回想の中と青井が入ってきた
ところであからさまに表情が明るくなって、別人みたいに純粋な
サッカー少年になってる姿はグッと来ますね。
彼にとっては楽しくて仕方ないサッカーを、体格に恵まれない
自分でも最大限に楽しむために至った境地なので、最高の遊び場を
見つけたのにみんな近寄って来ないみたいな感じで、満たされない
感情はあったのでしょう。
だから青井と二人で"景色"あるあるで盛り上がってるところは、
最早優勝を争う敵同士には見えなくなっています。
この二人のやり取りは、今後Jリーグで相対するか、ユース代表で
チームメイトになって最強の連携を見せるのか、まだ現段階では
定かではありませんが、今後が楽しみな組み合わせです。
青井が舞台を整えた後は、阿久津の独壇場の始まりです。
メンタルモンスター
ちょっとずつ阿久津の家庭環境が分かっていく中で、
毒親ってレベルじゃなかった母親の存在が生態が明らかに
なっていたのですが、今回まさかの試合前にすべてが決着
していたという展開!
大事な試合を前にして母親に会いに行くというだけでも
とんでもない精神力と覚悟だと思いますが、
死の間際の母親を前に本音を吐露し、今までの怒りや
憎しみに終止符まで打ってます。
こんなん30代で社会人として色んな経験した人だけが
達する領域ですよ?
本当にメンタルが鋼とかじゃなくてオリハルコン
くらいに仕上がってる阿久津の凄まじさが際立つ回です。
そして何と言っても今回良かったのは、加瀬さん!
親代わりとして、阿久津の面会に付き添ったのですが、
自分の考えを押し付けることなく、阿久津の感情は
しっかり優先するし、諭そうとしません。
極め付きは、阿久津と母親の再会という大修羅場で
ずっと、ずっと阿久津を気遣ってるのがやばい!
お前の心が傷つかないでくれ!
って願ってるし、阿久津がすべてを乗り越えた後は
福田監督に電話で報告しながら大号泣。
ユースとはいえ、チームと選手という立場にも関わらず
立派に阿久津の親やってます。
わざわざ時系列を入れ替えていったん阿久津の物語が
完結したかのような印象を受けて少し気になりましたが、
今後もステップアップ間違い彼と、加瀬さんとの関係や
エピソードはずっとあり続けて欲しいと切に願います。
優勝、そして
オリハルコン阿久津が掴み取ったチャンスをものにして
勝ち越しゴール。
エスペリオンは遂にイースト優勝を決めました。
そしてここから一気に展開が変わり、ここまで
全然出てこなかったトップチームの監督が初登場。
確実に癖が凄そうな御仁。
しかもどうやら福田現役時代、大怪我をして
キャリア消失した時の監督っぽいです。
今後間違いなく回想も交えながら二人の関係や
想いなどが描かれそうです。
そして青井も遂にトップチームから声がかかるようで、
まだ出場とまではいかないかもしれませんが、
ステップアップの段階に入ってきました。
次巻では新章突入っぽいので、更に面白くなりそうです。
オマケ:内田篤人
作中に「日本史上最高のSB」として内田篤人選手が挙げられていましたが、
これはいちサッカーファンとして興奮しましたね。
彼は見た目とかキャラクターばかり取り上げられがちですが、シャルケが
CLに出ていた頃は、とんでもない安定感で右サイドを支配していたので、
もっとプレーヤーとしての評価は高くていいと思ってます。
想像ではありますが、絶対に表では見せなかった超長期離脱中の顔も
描かれていたのも好印象です。
締めの「英雄の中の英雄だよ」も最高でした。
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