ゾン100 〜ゾンビになるまでに
したい100のこと〜は、
今際の国のアリス(全18巻)の
麻生羽呂先生が、今回は原作
として入り、作画は
ハレルヤオーバードライブ(全15巻)
の高田康太郎先生によるタッグの
作品です。
この作品、タイトルの通り、
ジャンル分けするとしたら
ゾンビもの
というものに分類されると
思いますが、このジャンル、
漫画で言えば、アイアムヒーロー
ゲームで言えば、最近リメイク版
も出たバイオハザードシリーズ
映画は、アメリカで無数に出続けてる
いわば王道ジャンルです。
しかし、この作品は、それらと違う
ポイントが一つあります。
それが
主人公のメンタルです。
今作の主人公、天道 輝(24)
は、制作会社3年目の会社員。
入社当初はこんな爽やかな姿
でしたが、3年後には
このありさま
そう、彼は知らずにブラック企業に
入ってしまった社畜なのです。
ちゃんと作中でここにいたる
までの経緯も描かれていますが、
身の毛がよだつような惨状です。
そんな地獄の日々の末、彼は
ゾンビもの王道の現場に
出くわします。
街もゾンビだらけになって、
普通ならパニックになったり
絶望してしまうような状況。
しかし社畜の思考はこれです。
ブラック企業こわい
主人公がそんな思考回路なため、
こんな狂った見開き画まで
出てきます。
もはや頭おかしいです。
ですが、この見開きがある意味
この作品を表しているのかも。
ゾンビだらけの世界になった
ことよりも
会社に行かなくてよくなった
が圧勝してしまった主人公
なので、
襲われても、追いかけられても
全然くじけません。
会社に行かなくていい
生活を満喫します。
この辺りは、洋画の
ゾンビランドに似ている
気がします。
この映画の主人公もまた
ゾンビ世界でたくましく
生きていく青年ですが、
やはり、メンタルでは
ゾン100の天道には及びません。
邦画の最も最近のヒット作
ゾンビ映画、カメラを止めるな!
の上田慎一郎監督からの推薦文からも
その点は読み取れると思います。
「ブラック企業で死んだように働いていた男が、
ゾンビの登場によってイキイキと蘇る。
ゾンビな世界を楽しむ方法。
それは現代日本をサバイブするための方法でもある。
笑った。泣いた。考えさせられた。
こんな"ゾンビもの"を待っていた。読むべし!!」
2話目以降は、
主人公がいくら逞しく
生きていこうとしても
周りの環境は変わっていく
もので、ほかの生き残り
との出会いや、逆に別れ
によって、物語はどんどん
広がっていきます。
この作品のタイトルも、
タイトル自体は、
↑の作品名のオマージュかと
思いますが、この映画同様、
ストーリーの流れの中で
彼がしたいことが登場して
きます。
基本的にここが、この作品
のメインクエスト(目的)
になっていくと思います。
そんなゾン100ですが、
主人公天道以外のキャラも
癖がある者ばかり。
ここら辺は、
今際の国のアリスで様々な
癖のある登場人物たちを
登場させて「げぇむ」を
繰り広げた麻生先生だからこそ
出来る、これまた他にない
ような人物が豊富です。
とにかく痛快なスタートから
楽しい作品です、
大抵のパニックもの、ゾンビもの
って状況の把握やとにかく
逃げ回って落ち着くまでに
2話3話費やすのが定石。
勿論、がっつりホラーであれば
その方が面白いかもしれません。
しかし、あまりにも同ジャンルの
作品が溢れているため、お決まりに
なっている序盤の展開は、出来るだけ
さっさと切り上げてほしいという
人も多いはず。
そこで同作は、そもそもゾンビ
に対しての恐怖が、出勤への
それを下回ってるという異常事態
が基本で成り立っているため、
ゾンビものの定石展開になっても
同じような反応、行動をしないので
新鮮な気持ちで見られます。
ゾンビものに飽きてる人こそ
面白いかもしれません。
そして今後の展開としても、
今際の国のアリスを書き上げた
麻生先生が、シナリオ作りのみに
専念出来るため、期待できますし、
ギャグテイストが強い今作には、
高田先生の画がよく合っていると
思います。
そして、随所にシリアスシーンも
入ってくるので、真面目に
ストーリーを楽しむことも
出来ます。
この辺りのバランスが
上手くはまれば、
かなり期待できる
作品なんじゃないかと
思ってます。