1巻で爆笑を巻き起こした、かつての犯人たちですが、2巻でも相変わらずです。
トップバッターは、ドラマ版で全国のちびっ子に、トラウマを植え付けた事でも有名な
雪夜叉伝説殺人事件です。
この事件、後にスピンオフまで出た、有能エリートの明智警視が絵に描いたよう無能を
晒すという、レアなシナリオなのですが、
犯人にバッチリ期待されてます。もちろん推理ミスを。
冒頭で、必死に猛吹雪の中、凍死しそうになりながら、氷の橋を作る場面も爆笑なのですが、
犯人の期待を下回る迷走っぷりに笑いが止まりません。
金田一に軌道修正してもらって、感謝をする犯人の姿も面白・・悲しいです。
そして犯人の願いがかない、
この有様です。原作でもエリート(笑)な展開でしたが、犯人視点だとさらに悲惨です。
このシナリオも
①トリック完成に大苦労
②「名探偵さえ現れなきゃ大丈夫」というフラグの建立
③自分の演技力を自画自賛
の黄金パターンは健在でした。
1シナリオ目は、このシリーズのお手本のようなスタートでしたが、
2シナリオ目のタロット山荘殺人事件からは、
犯人のキャラ付けが細かくなります。
今回の犯人は、東大出で賢さを前面に出すキャラなのですが、
関係ないだろって場面まで含めて東大って10回くらい言います。もはやネタの
天丼状態でじわじわ来るのですが、事件や犯人の特徴に合わせたキャラ付けが
されていくようになります。
次の犯人になると、
もうわけがわからないよ
悲恋湖殺人事件の犯人ですが、ターゲットを見つけ出すにあたり、
イニシャルだけを頼りに探しているという設定なので、S・Kの事考えすぎて
なんでもそのイニシャルであるS・Kにかけて喋るという、
自分でも何の説明書いてるか分からないキャラ付けがされます。
悲恋湖の犯人に関しては、努力量がこれまでの犯人の中でも1番だと思いますが、
その一連の流れだけでお腹いっぱいになれるほど、ネタが詰まってます。
それから、この巻では、事件を追うごとに金田一攻略の答えに近づいていくという、
何気につながってたりするのが、原作になくて面白い構成です。
こういうパロディネタもので、ギャグが強い作品って、2巻以降がネタ切れしたり、同じこと
の繰り返しになってトーンダウンするケースが少なくないのですが、
この作品はそれが全然なく、それどころか黄金パターンに新しいパターンを加えて進化してい
るのです。
トネガワ等もそうですが、近年はこういったハイクオリティなスピンオフ・パロディものが増
えてきているので、それを牽引する作品になってほしいです。
オマケ:今回のお気に入りシーン
美雪の気遣いに、トリックの成立がかかっている大事なシーンなのですが、
「良くあれ・・性格・・良くあれ・・・!!」
「H・Kに・・用はないんだよ!!」と迷いましたが
頭の中で一生願うことのなさそうなこの台詞が、
今回のベストワードでした。