天国大魔境 は、石黒正数先生による、アフタヌーンにて連載の作品です。
石黒先生といえば、アニメ化もして、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞も
受賞している「それでも町は廻っている」
でお馴染みの実績ある先生。
今作は、まだ1巻までしか出ていなかったにも関わらず、
『このマンガがすごい!2019』のオトコ編1位を獲得。
それ自体も異例ですが、何よりこの作品にとっての1巻の位置づけで、
獲得していることが凄いことです。
例えば、1話完結のギャグ漫画であれば、ある程度作品の
方向性が見えて、それがそのまま評価につながります。
他にも、1巻が完全な作品のイントロダクション、プロローグ
を成している、図書館の大魔術師や、乙女ゲームの破滅フラグ~
のような作品もあります。
ですが、今作の1巻は、とにかく謎が多いです。
しかも全部が謎というわけではなく、細かくヒントを盛り込みつつ、
謎をこれでもかと撃ちまくっているので、1巻だけでも考える余地が
沢山ある仕上がりになっています。
結果、1巻では基本的にほとんど何も分かりません。
それにも関わらず、オトコ編1位を受賞しているのだから、それだけ
多くの人の、今後への期待度が高いということです。
トキオ・・・壁の中で暮らす少年。外の世界に興味を持っている。
マル・・・外の世界に暮らす少年。ある目的を持って旅しているが、素性は謎。
他の人にない不思議な能力を持っている。トキオによく似ている。
キルコ・・・仕事としてマルに同行している少女。マル同様、壁の中にそっくりな
人物がいる。過去に秘密がある模様。
導入でも書きましたが、謎が多い分、考察が楽しい作品です。
1巻だけでも、今後のカギや展開が沢山。
しかもそれらは、具体的な会話の中で明らかになっていくだけで
なく、登場人物たちの日常会話や、彼らが歩く風景などから
読み取れるものも多く、適当に本筋だけを読んでいたら、
気づけません。
そうしたセリフや、情景から考察していくと、
世界が広がっていき、
20世紀少年を読み始めた時のワクワク感が蘇ってきます。
考察系マンガの醍醐味ですね。
本筋も、約束のネバーランドのような、限定された環境での謎解き要素、
荒れた土地での冒険、未知の敵とのバトルなど、謎は散りばめっつ、
色々な方向への可能性も広がっていきます。
すでに積極的に動いている外の2人と比べ、壁の中はまだ動きが少ない
ので中のトキオを中心とした動き、これも次巻以降に期待がかかります。
普段は1巻は、紹介のみでネタバレ要素は書きませんが、
今回は1巻の考察を、別記事で書こうと思います。
それだけ色々考えて表現したくなる、見ごたえのある作品です。