[おすすめ漫画] 徐々に動物化してしまう不治の病!パンダ探偵社の3つのおすすめポイント「澤江ポンプ / パンダ探偵社 」作品紹介と感想

作品・作者に関して

タイトル:パンダ探偵社

掲載雑誌:トーチweb

作者:澤江ポンプ

代表作→悟りパパ(2016)

あらすじ

不治の病でパンダ化しつつある半田と、先輩・竹林の探偵物語。変身病患者の切なくも救いある決断を描くアン・ヒューマン・ドラマ。

澤江先生は本作が初の長編連載作品です。

トーチwebは、元々40代以上がターゲット層の

リィド社が運営しているサイトで、ターゲットは

30代と、本来より若いですが、それでも有名どころ

よりは高めで、本作もテーマは子供向けでは

ないものになっています。

 

おすすめポイント

 

・変身病という不治の病
・発病者たちのドラマ
・パンダたち探偵側のドラマ

変身病という不治の病

本作は、BEASTARSやズートピアのような

完全な動物の世界ではなく、一般世界です。

その中で、変身病という、徐々に体が様々な

動物に変化してしまう病があちこちで起こり

始めている設定です。そういう意味では、

「個性」というエッセンスを一般社会に

足した僕のヒーローアカデミアと似た構造

だと思います。

 

ただここで大人向けだと思える部分は、

その変身病によって動物化が始まった人々は、

最終的に完全な動物になってしまい言語も失い

ただの獣になってしまうのです。

喋るクマさんにはなりません。

その点は一般的なファンタジー作品とは

大きく異なる点ですね。

 

 

発病者たちのドラマ

 

発病者は兆候が表れてすぐ完全な動物に

なるのではなく、個人差ありつつ、

徐々に徐々に変わっていきます。

 

 

そこにドラマがあって、1つは本人がそれを

受け入れていく本人視点、2つは周りの家族が

それを知り向き合っていく視点が描かれていて、

複雑な家庭事情もあれば、華やかな舞台での

陰と陽もあります。

 

生と死を取り扱った作品と似ているのかも

しれません。

ただ、生き続けることがかえって複雑化させ

ているので、より難しい話でもあります。

 

だからハッピーエンドということは基本ありません。

不治の病ですから。

ですが、変身とどう向き合って、それに決着を

付けるか、そこの描き方が魅力的なのです。

 

 

中でも1巻最後の、植物化という特殊な例の

エピソードは、誰が依頼人なのか、どういう狙いが

あったのか、話の仕掛けが面白いですし、植物化する

女の子の着地地点は考えさせられます。

パンダたち探偵側のドラマ

 

話の主人公である半田くん自身も、

変身病の発症者で、彼はパンダ化が

少し進行しています。

 

しかし彼自身はそもそもこの変身病が

当たり前に存在する世界自体と向き合え

ていない感じで、世界を受け入れている

人達の妨げをしたりしています。

 

基本的に探偵として依頼を受けて、1つ

1つの案件を解決していく、1依頼完結型の

ストーリーですが、彼のそうした行為が

話を展開させていきながら、その過程で

彼自身も考え方が変化していき、上司で

ある竹林との関係も変わっていくのが

この作品の大枠のストーリーとして存在し

これも面白いです。

 

1巻感想・まとめ

 

タイトルと1話冒頭の雰囲気的に

コメディ寄りの作品なのかと思いましたが、

考えさせられるヒューマンドラマでした。

半田と竹林のやり取りは笑えますし、

基本は淡々としていて雰囲気通りなの

ですが、要所要所で入ってくる事実や

心情のパンチが重いです。

この飄々とした雰囲気だからこそ

読み続けられるテーマです。

 

基本的に半田ってポンコツで察する力が

なさすぎるのか、場をかき回すので、

最初はかなりイライラしてしまいましたが、

この作品の人達って当たり前に現実を

受け入れすぎているので、彼が感情を出して

動き回るのは必要悪みたいなもので欠かせない

ものだと少しずつ気づき始めました。

 

人間から遠ざかっていく過程が1番人間臭くなる

という皮肉みたいなシナリオですが、凄く

面白いです。

 

 

 

現代の“変身物語”開幕――!!身体が徐々に動植物に変化していきやがて人格が失われる不治の病“変身病”。パンダ化進行中の半田と学生時代の先輩・竹林は変身病に関わる案件専門の探偵業を営む。そんな彼らに舞い込む5つの依頼、その結末は…!?ヒトでなくなっていく変身病者たちの覚悟と選択、そして残された者に宿る勇気と希望の物語。

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ブログ主
りかるど

ブラジルのサンパウロ生まれ。5歳で日本へ。
小中高大卒業後、書籍業界へ就職。現在はフリーでブログ運営などネット中心に活動中。趣味は漫画、スポーツ観戦、音楽ライブ、お笑い等。

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