[おすすめ漫画] 料理は数学で作れる!アオアシ作者による論理的で熱い料理漫画「小林有吾/フェルマーの料理 1巻」作品紹介と感想

作品・作者に関して

タイトル:フェルマーの料理

掲載雑誌:月刊少年がマガジン

作者:小林有吾

  代表作→アオアシ

     →ショート・ピース

→てんまんアラカルト

あらすじ

「数学の道でこの世の真理を見出すような人間に、僕はなれない…」数学者を志し、数学オリンピックを目指すも挫折した数学少年・岳。奨学金は打ち切られ、学食のバイトで学費を稼ぐ無為な日々の中、突然訪れた一人の天才シェフとの出会い。「数学」が「料理」と交わる時、未知のグルメ世界への幕が上がる――‼

 

アオアシが大ヒットし、その連載もしながら

手掛けたのはまさかの料理漫画

実はアオアシの前の連載は料理漫画の

てんまんアラカルトで、これは料理作品の

2作目。編集部主導でスタートしたアオアシ

と違い、もともと経験のあるジャンルで、

そこに近年のヒット作で得た力を上乗せした

作品となっています。

物語の重要ポイントにはその

てんまんアラカルトの登場人物も出てくる

ので、彼の過去に興味があったら読んでみる

といいかもしれません。

 

食材調理科に通う七瀬蒼司の料理はまるでビックリ箱! だが、師匠と仰ぐ伝説のシェフ渋谷克洋との再会だけを夢見る蒼司は授業をサボりまくり、幼なじみの香織は呆れるばかり。そんなある日、憧れの渋谷シェフの 娘・天満が現れて‥。天才高校生シェフ・蒼司の運命がいま奔り出す! 

 

小林先生はどの作品においても、

データが非常にしっかり調べられていて

アオアシとショート・ピース、

アオアシとフェルマーの料理は時期が

被っているにも関わらずどの作品も

深く深くその業界の知識の掘り下げが

されているのには脱帽です。

 

おすすめポイント

フェルマーの料理のポイントは3つ

・数学で料理に挑む!
・論理と感性の融合
・合理的なのに熱い!

 

数学で料理に挑む!

 

作品の主人公北田岳は、数学の実績で

学校に入り、数学オリンピックも目指して

いた少年でしたが、途中で挫折してしまい、

それにともなって特待生からも

外されてしまいました。

 

数学のためだけに生きてきて、目標を失って

しまった北田は学食でバイトを始めるのですが、

そこで作ったまかない料理をたまたま居合わせた

朝倉海が食べたところから、物語が動き始めます。

 

 

数学×料理という組み合わせは、一見奇をてらった

インパクトのためだけに設定しているテーマに

見えますが、実際は数学的な思考って非常に料理に

重要な要素なのです。

 

数学オリンピック候補にまでなった北田が、その

独特の計算立て方と、答えの導き方から作られる

料理には非常に説得力もあるし、発想も凄いです。

1巻で最初にナポリタンを作るのですが、

その美味しくする一手が、何も凝ったことでは

ない、やろうと思えば私達でも出来ることなのに

それがちゃんと数学した答えとして出ていて

めちゃめちゃおもしろいです。

 

 

論理と感性の融合

 

数学的思考がメインにはなり、例えば

食材にはそれぞれ旨味成分というのが

数値化されてあって、それを足していく

ことである程度の料理の「旨さ」という

のは表現できますが、それだけだと論理的

ではありますが、機械的で寂しいです。

 

しかしこの作品は科学的なデータや理屈

だけではありません。感性・主観がその

データに上乗せされて、発想し完成させて

いくのです。

 

 

数字化できるデータに寄りすぎても、

そのお客様の思い入れなどの感情に寄り

すぎても、バランスは崩れます。

ですがこの作品は、より偏りやすい感情

側によりすぎないよう、最初から数値、

つまり数学的思考からスタートさせており、

そこが絶妙なバランスを生んでいます。

 

 

合理的なのに熱い!

 

そうした数学的思考を持った主人公で

あるにも関わらず、ストーリーも展開も

熱いです。

これは作者の小林先生がショート・ピースでも

アオアシでも遺憾なく発揮した部分で、

話の抑揚の付け方と、エピソードの終わりへの

向かい方が抜群に面白いです。

 

 

今回は主に2回の料理提供シーンがありますが、

どちらも北田の内面での、発見と成長を描きつつ、

食べる相手とのドラマもしっかり仕上がっていて

ヒューマンドラマとしても面白いです。

 

もっと言えば1回目は非常~~にスッキリします

 

 

1巻感想・まとめ

 

まず言いたいのが、この1巻は

北田岳が料理人としての歩みを

始めるプロローグとして

150点

付けたいほどの完成度です。

少なくとも今まで読んだ料理漫画の

1巻としてはナンバー1です。

 

それなのに、まだ彼が働くことに

なるレストランの料理人たちの

ほとんどがどう見ても個性派揃い

なのに登場しかしておらず、どういう

人物なのかの掘り下げもされていません。

 

つまりは余裕を残しての1巻フィニッシュ

なのです。2巻以降が更に面白くなりそうです。

 

そしてショート・ピースですでに、

撮影を通してエピソードごとに1人1人

違った人物を取り上げたシナリオの完成度の

高さは見せてもらっているので、レストランを

訪れる客1人1人のシナリオにも期待しか

こみ上げてきません。

 

それから会話の節々に現れる、アオアシの蒼井に

似た北田の狂気も良いですね。

 

前作料理漫画からキャラクターの再登場もありつつ、

展開や表現はジャンルは違えど大ヒットした2作品で

培ったものが生かされていて、

 

「アオアシ」小林有吾、最新作!!「俺たちは、料理をもって神に挑む。」数学者を志すも、その道に挫折した高校生・北田 岳(きただ がく)。夢を失い、学食のアルバイトで無為な日々を過ごす彼に、謎の若き天才シェフ・朝倉 海(あさくら かい)との運命的な出会いは、突然訪れる――。2人がめぐり逢い、「数学」と「料理」が交わる時、未知の世界への扉が開く!!

 

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ブログ主
りかるど

ブラジルのサンパウロ生まれ。5歳で日本へ。
小中高大卒業後、書籍業界へ就職。現在はフリーでブログ運営などネット中心に活動中。趣味は漫画、スポーツ観戦、音楽ライブ、お笑い等。

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