[ネタバレあり] 鬼殺隊と鬼の戦い完結!この作品の凄さは決着の仕方にある「鬼滅の刃 23巻(完)」感想

 

凄まじすぎる総力戦

伊黒が大活躍した前巻から、珠世としのぶの

一片の油断もなく仕掛けられた毒によって、

弱体の一途をたどる無惨に対し、今回は

炭治郎を中心とした最後の戦いが決着します。

鬼滅の刃の最終決戦、

 

壮絶です。

 

ジャンプだけでなく今まで色々なバトル漫画を

読んできましたが、そのほとんどは最後には

主人公VSラスボスの構図になります。

ですが、最終決戦に入ってから毎回書いて

ますけど、鬼滅では

 

鬼殺隊全員VSラスボス

 

元気玉とかそういう形ではなく、本当に

最後まで全員戦い抜いたというところにこそ

この作品の凄さがあったと思います。

だからこそ私が考えるこの作品の集大成は、

199話です。

 

最終局面のスタートは炭治郎、伊之助、

善逸の、始まりの3人組で始まり、そこに

瀕死の柱たちが最後の力を振り絞り、己の

最大最強の一撃を入れていく。

 

片腕を腕を吹き飛ばされた炭治郎を義勇が

サポートし、ここからは戦場にいた全ての

鬼殺隊員が1人残らず全員が、命をかけて

日光から逃げる無惨を止める。

 

もう全員が必死です。本当の意味での必死。

全員が自分が死んでもこのミッションだけは

やり遂げるという意思で無惨にぶつかる。

 

その場にいない、新お屋形様の輝利哉くんも

涙を流しながら必死に隊員たちへの指示と鼓舞。

 

もう戦いが終わる前から号泣しました。

 

特に、炭治郎達と柱達のように、自分たちで

無惨に相対する力のない隊員たちが

 

退がるな!!

何があっても!

 

と、我武者羅に一所懸命に自分達の出来ることを

している姿には心を打たれましたし、見事に

彼らの必死さが描かれていました。

 

無惨もまた何をしてでも生き残ってやるという

必死さと隊員たちの必死さが100%ぶつかって

凄まじい1話になっています。

 

ここのシーンを読んで、最終章は無限列車編の

ように、映画で描かれるのではないかと思い

ました。これはTVでやるには、両陣営の熱量と

規模が大きすぎます。

 

気持ちの話ではなく、本当に一般隊員たちも

一緒に戦ったという形にしたこと、

最終巻で特に素晴らしかった点でした。

 

 

終局

鬼殺隊全員の頑張りによって、無惨を

倒すことには成功しましたが、

柱はほぼ全員死亡。

 

報われないと思っていた伊黒は、

最期の最期に甘露寺と想いを共有する

ことが出来たのはすごく良かったし

良い役回りとは言えない悲鳴嶼もちゃんと

死にゆく中で子どもたちに会えたのも

良かったです。

 

兄ちゃんが生き残ったのは意外でしたね。

弟の分も生きることになって玄弥も嬉しい

ことだったに違いありません。

 

そして炭治郎が無惨の呪縛によって、

鬼化した最終のさらに最終局面

 

全く何が起こってるのか把握できない

救護班をよそに。すぐに状況を理解し

炭治郎を殺すことを決めた義勇の

判断力の早さは素晴らしかったです。

流石は鱗滝門下生。

 

そして禰豆子たち仲間たちの頑張りも

あって戻ってきた炭治郎。

ここで彼の最高に良い部分が出ました。

 

上弦たちを誘い入れた時と同じように

炭治郎に鬼への道へ引きずり込む言葉を

投げ続ける無惨に対し、全く耳を

貸さない場面は震えました。

 

これは無限列車編の時、魘夢の血鬼術で

家族に罵倒される悪夢を見た時に、

「そんなこと言うわけないだろ!!」

と炭治郎がブチギレましたが、この時と

同じで、仲間・家族に対しての信頼が

尋常じゃないんですよね。

 

これは仲間・家族の自分への信頼に自信が

あるのではなくて「そんな人じゃない」

とその人たち自体への揺るぎない信頼が

凄いんです。

 

戦士としては最期に弱い部分を見せながらも

心の部分で最強だった、炭治郎らしい決着

の仕方でした。

 

21巻の感想でも書いた、無茶苦茶なことを

戦いの前には言ってた無惨が、最期には

「私を置いて行くなアア」と叫んでいるのも

印象的でした。

 

 

そして、常に生々しい怪我が絶えなかった

炭治郎、よく感想でこの漫画のある意味の

特徴として書いてきましたが、最終的に

右目の視力を失い、左手もほぼ失くすと

いう、この点でもブレませんでした。

 

 

最終エピソード

最終話は、ほぼサービスエピソード

でしたね。

どんだけみんな同じ街から出ないねん

ってくらい、鬼殺隊やその周りの

人たちの子孫、生まれ変わりが一箇所に

大集中しているのはツッコミどころでは

ありましたが、これで良いと思います。

 

無一郎が兄ちゃんと一緒に転生してたり

伊黒甘露寺が夫婦、悲鳴嶼は保父さん、

義勇の子孫は錆兎達の生まれ変わりと

仲良しトリオになってたり、サービス

満点です。そして何気に時透兄弟がいる

コマで、縁壱とうたの生まれ変わりが

ちゃんと子供も出来て幸せそうにしてる

姿にウルっときました。

 

大正時代という、そこまで遠くないのに

遠い日本史の世界の話に感じる世界を、

現実の現代に繋げた試みは良かったです。

愈史郎と茶々丸はともかく、鬼になった

わけでもない輝利哉くんが生きていると

いうくらいには近い時代の話だと改めて

思わされます。

 

というか、短命を運命づけられていた

産屋敷の血筋が、長寿の日本記録を出し

いるのも感慨深かったです。

 

 

まとめ

最高の作品でした。

超人気作になったので、漫画ヲタクには

この作品を絶賛するのをためらう風潮も

あるかと思いますが、自分は漫画ヲタクと

しても、この作品は歴史に残る傑作だったと

考えています。

 

同時に正直ここまでヒットするとは思わ

なかった漫画の筆頭です。

 

痛々しい描写やむごい展開、妓夫太郎達の

ように救いようのない人生が出てくるなど

どう考えても読む人を選ぶ作品だったと

思っていただけに、驚きは大きかったです。

 

初期は良くも悪くもジャンプ漫画っぽく

ないダークな雰囲気という印象。バトル漫画

なのにな部分の方が目立ってました。

 

具体的なところでは、アニメの場合では、

なんか変わった人たちが出てきたっ

感じでそこまでネガティブさが

無かった柱初登場のシーンも、

リアルタイムで読んでた時は、当時の

作画も相まってねっとりして不気味で

気持ちの悪い連中が出てきたと、嫌な

印象が強かったです。

 

それゆえにギャグシーンとのギャップ

凄まじすぎてクセになる漫画でしたね。

 

その2点では進撃の巨人と重なります。

 

多分アニメの画を見てから入った人と、

最初からあの作画のみで読んでいた人では、

作品に対しての印象はだいぶ違うはずです。

 

それが大ヒットして正に老若男女が

見る作品になるのだから分からない。

というかufotableの力の賜物です。

 

人気が出てもこの作品はブレることは

なく、ジャンプの伝統らしくもっと

長引かせると予想していた矢先に、

無限城編に突入する流れも痺れましたし

一般隊員達の活躍も見せるなど、見せ場が

主人公や人気キャラにだけ偏ることもあり

ませんでした。

 

今後の連載漫画のあり方という観点でも、

引き伸ばしやキャラ人気迎合シナリオという

のはジャンプでもよくあった事ですが、鬼滅は

ブレなかった。良い作品が良い終わり方をする。

良い流れを作ったと思います。

 

次はどういう作品を描くかは分かりませんが、

吾峠先生の短編集が抜群に面白かったので、

ポップではなくダークやミステリーに寄った

傑作をまた描いてくれると期待しています。

 

鬼の始祖・鬼舞辻無惨と炭治郎たちの戦いは最終局面へ…!! 珠世が身を挺して投与した四種類の薬が、無惨を衰えさせ、追い詰めていく。炭治郎と禰豆子、そして鬼殺隊の運命は!? 永きにわたる鬼との闘争、決着の刻!!

 

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りかるど

ブラジルのサンパウロ生まれ。5歳で日本へ。
小中高大卒業後、書籍業界へ就職。現在はフリーでブログ運営などネット中心に活動中。趣味は漫画、スポーツ観戦、音楽ライブ、お笑い等。

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